『雁』森鷗外 感想
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 生まれてすぐに母を亡くし、貧困の中で父親に育てられたおとなしい娘お玉、父親に楽をさせたいと高利貸し末造の妾となった。上野不忍池にほど近い無縁坂にひっそりと住むお玉は、やがて、毎夕の散歩の道すがら家の前を通る医学生岡田と、窓越しに微笑を交わすようになり……。 森鷗外(1862-1922)は、現在の島根県に位置する津和野藩で典医を任されていた父親の長男として生まれました。当時における嫡男意識は当人にも世間にも強く持たれて、森鷗外自身もやはりそうあろうと努めて医学の道へと進みます。十歳のときに父親に連れられて上京するとドイツ語を学び、東京大学予科へ…