カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/1
2025/6/29ムルソーは逮捕される。クリスト教徒の判事の機嫌を損ねつつ、尋問を受ける。彼の身柄は憲兵に託される。二部のはじまり。前章で彼は眼を斬られたと思ったんだけど触れられていない。違うんだろうか。ムルソーは相変わらず他人事感覚で尋問を受ける。心証をよくしようという意思が見えない。敬虔な判事は「神を信じるか」と聞くが「信じない」と答える。どうしてこんなにやる気がないんだろう。こういう淡々としている感じは作中人物としてあんまり好きではない。現実味がない。そう考えてみると、ちょっと何かあると周囲にキレ散らかしていたラスコーリニコフは、まだ人間臭かった。ただ、前章で、好きな浜辺の特殊な沈黙をうちこわしてしまったと感じてから、更に銃を撃ち込んでいるので、そこで少し苛ついていたなかなとは思った。「悔恨よりも倦...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/1